Webアプリは作ったことはあるのだが、かっこいいデザインではなく、ユーザビリティも「一般のUIを知っている人なら使える」程度だった。そこでこの講座を知り、次のために役立てたいと思ったのだ。
通常はUIデザインというところ、UX (User Experience) デザインも含めているのは、使いやすいだけでなく「体験」を含めて素晴らしいものを作る方法論が知れると思ったのだ。アジェンダを見ると、「HCDプロセス」(Human Centered Design Process) も含まれており、ただ「UX = 素晴らしいUI」と考えているわけではなさそう。
しかしHCDプロセスは実際の行動を観察したり行動に関してインタビューしたりで、Webとは相性は良くなさそう。実際にHCDをWebデザインに適用したという例は私は聞いたことがなかった。
という訳で、
- 次のWeb開発ではUXも考慮しつつ、かつかっこいいデザインを採用したい
- HCDをWebデザインに適用するとはどういうことか
ということが学べると期待して参加した。
講師は森山明宏氏。OA機器メーカーでユーザビリティを担当して、その後独立して現在のユーリカ株式会社を設立されたとのことで、HCDを実践されてきた専門家である。
最初にUXとUIの違いに関して説明があり、これにより「UX = 素晴らしいUI」といった薄っぺらい定義でないことがわかる。
- UI: 人間と機会が情報をやり取りするために設けられた部位。例) ボタン、ダイアログなど
- UX: 製品やシステム、サービスの利用、および/もしくは予想された使い方によってもたらされる人々の知覚と反応のこと
というようにまるっきり違う。私自身はこのUIの定義は「UI部品」の定義であって、UIは「UI部品の組み合わせと動き、部品をどう使うか」ということだと理解していたので、質問したが、私の理解は「UIデザイン」の定義であるとのことであった。
そうするとUXのデザインはUIのデザインと全く異なることになる。実際講義で説明されたのは、HCDプロセスそのものといって良い。ここで学んだ/学べるポイントは以下の通り。
- UXとは何か
- 製品の使用前、使用中、使用後における体験全てを含む
- UXの良否はユーザーの内心の評価基準で決まる (ユーザー以外に物差しはない)
- サービス以外の要因 (宣伝、評判、本人の知識、使用環境など) に影響される
- UXデザイン = HCDプロセス (人間中心設計)
- 利用状況の把握と調査: ユーザー調査 (インタビュー、観察) → 「体験談を集める作業」
- 要求分析: ペルソナ/シナリオ法、カスタマージャーニーマップ (シナリオをフローチャート化したもの)
- 解決策の作成: 試作品 (プロトタイプ)
- 評価: ユーザーテスト、認知的ウォークスルー、ヒューリスティック評価
と、私が学んだことがあるデザイン思考と基本的に齟齬がないことがわかった。
このように、「Webアプリの開発においても、HCDプロセスにしたがって行いましょう」というのが本講座の主眼となるものであった。直接UIデザインに繋がるノウハウが得られるわけではなく、私の期待の一つ「Web開発ではUXも考慮しつつ、かつかっこいいデザインを採用したい」はこれだけでは
ただし、Web開発に関しては優良事例に学ぶ (真似る) ということも重要なものとしてあげられた。「UIデザインパターン」を学び、実践するだけでも50点は取れるとのこと。
全体として、UXとUIの違い、UXデザインの進め方がよく理解できる講座だったと思う。UXとUIをごっちゃにしている人の批判も含めつつ、歯切れの良いレクチャーであった。私のもう一つの期待「HCDをWebデザインに適用するとはどういうことか」も理解できた (基本的にプロダクトもWebサービスも変わらない)。
0 件のコメント:
コメントを投稿