2019年8月24日土曜日

Google ML Study Jams Vol.3 受講参加者募集します

ML Study Jams は、Googleが無料で提供している機械学習を学ぶイベントで、今回3回目です (これ以外にクラウド技術を学ぶCloud Study Jams があります)。

  • 通常月額49ドルかかるCoursera受講料が対象4コースに限り無料です (3か月間ただし受講イベントは9月末まで)。
  • 修了者にはGoogleノベルティがもらえます (オーガナイザーには別の品物があります)。
これまでは参加者が各自申し込む形でしたが、今回は団体戦。5名以上のグループをつくり、オーガナイザーをおき、グループで申し込むことになります。

今回は私も自身のスキルアップを目指し、オーガナイザーとして参加しようと考えており、参加者を募集します。以下のような形で進めたいと思いますので、ご賛同いただける方は、メールアドレスと希望日をおしらせください (→ メール) 。
  • 実施対象コース: How Google does Machine Learning 日本語版
    初心者向けですが、実際にPythonを使った演習があります。
    私自身は昨年受講しましたが、今回は自分自身がレクチャーができるものとして選択しました。
  • 実施形式:オンライン+自主受講
    最初に、私が受講する様子をライブ配信し、その際に何をやるか、何をやっているかを説明します。ただし、答えを直接教えることは禁止されていますので、考え方だけ説明します。
    受講イベントは2時間で、コースの標準は10時間ですので、残りはイベント後各自で実施してもらい、不明点だけSlackで質疑応答という形にしたいと思います。
  • 実施日時:9月1日から17日までのいずれか2時間。以下の範囲からご希望の時間帯をお知らせください。確定したらお知らせします。
    • 土日日中または夜 9:00 ~ 11:00 / 14:00 ~ 16:00 / 19:00 ~ 21:00
    • 平日 (月曜日または火曜日) 日中または夜9:00 ~ 11:00 / 14:00 ~ 16:00 / 19:00 ~ 21:00
    • 平日 (その他) 夜 19:00 ~ 21:00
  • 申込期限: 8月31日 → 9月4日までに変更します。
なお、参加希望者はメールアドレスを教えていただくことになりますが、この目的以外、例えば営業活動や勧誘には使用しません。

今年6月に行ったCloud Study Jams Vol.3の賞品が届きました。

「自分」を超える (Bigbeat LIVE その3)

Bigbeat LIVE の3rdStage 「マーケターとしての軸を設定する」は、これまでが組織、コミュニティにフォーカスしていたのに対して、個人にフォーカスしたもの。このセッションのホスト徳力 基彦さんは、最初に「私では無理かなと思う人に対してのメッセージ」と語っている。登場したのは次の4名。
  • 元 Dropbox 植山 周志さん「ビジネスマンとしてぶっ飛べるようになった2つの原因」
  • 大日本印刷株式会社 山口 圭介さん「“おせっかい”が“よのなか”をかえる」
  • オートメーション・エニウェア・ジャパン株式会社 長橋 明子さん「自分の信念と向き合ってキャリアをつくる」
  • 株式会社ヤプリ 島袋 孝一さん「俺みたいになるな!! アラフォーサラリーマン キャリアのリアル」
植山 周志さんに「元 Dropbox」 という肩書がついているのは、8月20日からシドニーのCanvaという会社に転職するため、その時点ではフリーだったから。彼自身が目指すものは「ありえないおじさん」。インタビューにもあるが、50歳を目前にして転職、肉体づくり、英語、様々なことにチャレンジし続けている。そんな彼でもずっと右肩上がりの人生だったわけではない。ジャンプする前は大きく下がった。そういうときの心構えに「トンネルは永遠に続かない。ジャンプするにはしゃがむ必要がある」というのがある。「命まではとられないと言い聞かせ、行動を続ける」ことが大事。また、最初からそう言う心構えだったわけではなく、2006年に「自分の人生を変えたい」と強く思うようになり、行動を続けるようになったということだ。

山口 圭介さんは、大手の企業でずっと勤務しているという点で、この中では異色の存在といえるだろう。しかし同じ会社とはいっても異動があり、紆余曲折がある。彼自身が「おせっかい」をテーマにしており、大切にしていることは「外部との交易」と「無償の勝手な愛」ということだ。 自分の思い通りに動いてくれない部下にあたるときもある。野球の野村監督が「野村再生工場」といって選手を復活させてきたが、その意識をもって向かい合ってきた。インタビューでも「ヒトを育てたい」ということがテーマになっている。

長橋 明子さんも大企業からスタートアップへの転職というキャリアをもつが、大企業の中でもネットワークエンジニアからアプリケーション開発、経営企画と大きな異動があった (インタビュー)。またその間に出産があり、いわゆる「マミートラック」を経験し、そのときは「しかるべき時期に備えて力を蓄えたという。それが、同じ課題を持った仲間との出会いからミートアップ立ち上げ、社外での評価が自信になり、自分の軸になったという。雌伏のときの心構えが大事だというとは、植山さんの言葉と通じる。また、仕事以外に、ヨガ、グラフィックレコーディングをやっていて、それぞれが趣味のレベルを超えた取り組み方というのも植山さんと同じだ。

島袋 孝一さんは、最初はパルコで複数店舗を管理する側でそこはマーケティング部門という訳ではなかったが、マーケティング的な考え方が必要だったといえ、そこで「マーケティング」を意識し、その後マーケターとして大手企業、スタートアップと渡り歩くことになる。いろいろ渡り歩いているところを「俺みたいになるな」とは言っているのかもしれないが、自分の軸ができているところは他の登壇者と同じと思う。

全体を通じて、行動と発信が重要であることがわかる。そのベースには心構えというか軸がしっかりしていることがあるだろう。それが「自分」を超えることにつながる。

もう一つの共通点はマルチな人間ということで、複数の専門性をもつことが活動の幅を広げているのだと思う。サバイバルにつながるともいってたが、そんな心配はこの人たちには必要ないのではないかと思った。植山さんの「人は裏切るが身につけたものは裏切らない」という言葉は印象に残った。

最初に徳力さんが「私では無理かなと思う人に対してのメッセージ」と語っていたが、皆さんの話を聞くと、「やっぱ自分には無理」という感じを持った人が多いかもしれない。しかし、そこまで到達できなくとも、「今の自分を超える」という目標でも十分なチャレンジテーマではないかと思える。

最後に全員で乾杯。このビールはラベルだけでなく中身から作っているそうだ。スパイスとして山椒を使っている。

2019年8月10日土曜日

熱意を伝える (Bigbeat LIVE その2)

Bigbeat LIVE 2019 午後の2nd Stage のテーマは ”組織は「共感」で変わる"。登壇者それぞれ、組織/コミュニティ、変革に違いがあって、バラエティに富んでいる。

ホストの小沢匠氏はアドビでビジネスモデルを売り切りからサブスクリプションに変えていくために営業全体の意識を変えていかなければならなかった。エンワールドジャパンの片山旭氏は、「カスタマーサクセス」で転職業界の慣習を変えるチャレンジを行った。Freee 田中圭氏は、共感してくれるユーザーのユーザー会をどう立ち上げたかのお話。Abejaのぎょりさん (片淵恭子さん) は、日本一の自社イベントを立ち上げる際にどう周りを巻き込んでいったのか。それぞれ興味深い。

アドビ小沢氏が、売り切り型からサブスクリプション型へのビジネスモデルの変革プロジェクトにチェンジマネジメントリーダーとして関わった話は、日経XTECH の連載 "「チェンジモンスター」をやっつけろ!アドビが自らを変革した100日間" で読むことができる。その連載を全部話すことはできないので、重要なメッセージのみが伝えられた。特に
 「一人では何もできない。共感が人を動かす」と、「チェンジモンスターは、人ではなく、心理的な阻害要因」ということが心に残った。後者に関しては私も「モンスターペアレント」みたいに、厄介者の個人ということを想定していたので、それが誰の心の中にもある阻害要因という見方の変化はなるほどと気づかされるものがある。「阻害要因」ということは、悪意がある人がいるわけではなく、それがなくなれば前進できるということで、問題は対処可能に見えてくる。一方、「誰でも」というところは、その阻害要因は人それぞれであって、一つの解決策でうまくいくものでもないことがわかる。

エンワールドジャパン 片山氏が「人材紹介業の慣習を変える」といっている「慣習」は、人材紹介のビジネスモデルに基づくものである。転職の成功でその人の年収に応じた紹介料を貰う。転職自体がゴールになっているので、それまでケアは厚いが、その後は関係が切れてしまう。しかし、転職者にとってのゴールは「その転職で幸せになる」おとであり、それを「カスタマーサクセス」で定義し、転職後もフォローするように変えた。

片山氏が行った人脈作りが面白い。鬱陶しいくらい熱い。社内ネットワークづくりのためにランチのお誘いをする。毎月15回をKPIとして設定した。セルフブランディングとして毎日のルーチンを設定し、「あの人は何をやっているんだろう」と思わせる。イベントには積極参加し、「イベントの人 = 片山」という評判を得る。アウトプットを続ける。目を付けた人を「勝手にメンター」にしてしまう ... これらがカスタマーチーム立ち上げの基盤になっているとおもわれる。熱さが共感を生むのだろう。

Freee田中圭氏は、ユーザー会を「自走コミュニティ」と呼んでいる。Freee側が手をかけなくとも、ユーザー自ら勉強会「マジカチ」(= マジで価値ある勉強会) を行い、お互いに教えあう。これは会計業界のフェスみたいなものに成長している。Freee側担当者のリソースに依存せずスケールするし、ユーザー視点の良質なコンテンツを量産できる (ハッシュタグ#freee塾 で検索することができる)。
https://six.abejainc.com/
このようなコミュニティを作るために「共感」を生み出すことが重要になる。ユーザー会だけでなく社内でも共感を得る必要があるということだ。そのためには、楽しそうに仕事をすること、それを社内で見てもらうこと、ユーザー会のリーダーに社内向け講演を行ってもらうなど行った。社外向けでは、まずリーダー候補者を探し、選ぶことが重要になる。ビジョンと目標を共有できる人でないといけない。リーダー向けには特別なノベルティを用意し、全国リーダー会などでモチベーションをあげる。

コミュニティマネージャーの仕事は、「熱量をもってビジョンを伝える」ということが印象的だった。

Abejaのぎょりさんは、Abeja SIX という大規模自社イベントのリーダー。それまで名前も知らなかった会社がこんなに派手なイベントをやるんだと感心していたが、それがこんなに若い人がやっていたとは、改めてびっくりした。ぎょりさん自身も、突然リーダーに指名され、最初は苦労したようだ。社内の協力を得るためにタスクを組むが、最初は盛り上がらない。そのため、そのタスクチームを70人から3人に減らした。その3人の周りに助ける人がついていくるようになった。気を付けていることは、皆が達成感を得られるようにすることで、そのためにタスクを明確にして渡した。

皆さんの話を聞いていると、共通することは、リーダーが熱意を持って進めること、そのフォロワーにも熱意が伝わることだとわかる。日経エレクトロニクスの連載「iモードと呼ばれる前」の番外編で、立役者の一人松永真理氏が「人の覚悟は伝染します」と語っていたのを思い出した (以前「NTTドコモ・ベンチャーズ DAY 2018」で書きました)。

こうなってくると、個人の熱量が大事になる。暑い人たちのお話は「その3」で。

会場は東京ミッドタウン日比谷の6階から。皇居と日比谷公園が借景になっている。

2019年8月5日月曜日

選ばれる機能、それがマーケティング (Bigbeat LIVE その1)

表題の「選ばれる機能、それがマーケティング」は、8月2日に行われたBigbeat LIVE の挨拶に立った濱田社長の言葉から。最初に「BtoBマーケター夏の祭典」というサブタイトルがついていたので、デジタルマーケティングとかリードナーチャリングとかの話かと思っていたが、この言葉でそうではないことがわかる。

「マーケティング」は人によって使われる意味が変わってくる。「狭義のマーケティング」は、広告、プロモーションで、「作ったものをどう売るか」。これに対して「広義のマーケティング」には「売れる仕組みを作る」、そして、「売れるものを作る」まで含まれる。Bigbeatは広告会社ということで、そういう意味では狭義のマーケティングが専門だと思うが、このイベントはそうではないことがわかる。

実際、一日イベントに参加して大いに刺激になったし、勉強になった。あ、「勉強になった」は敗北の言葉だった (小島英揮さん談)。行動が大事。そしてアウトプットが大事。それぞれの登壇者の言葉を拾っていきながら、考えたこと、これまで考えてきたこととの接点をまとめていこうと思う。

濱口社長:「働き方改革」に関しては、(電通の問題があった) 2018年以前から気付いている人が多くいた。「働き方」を変えるには「経営」を変える、「マーケティング」で「経営」を変える。
 -- 働き方改革のためには、長時間労働でなく、生産性をあげなければいけない。日本の会社をみていると、部門でできるコスト削減の取り組みは力を入れているが、コスト削減の積み重ねでは不十分で、会社全体でコストをかけず売り上げを伸ばす必要が出てくる。それは「選ばれる機能」を作ることで、 (広報宣伝部だけの仕事でなく全社で取り組む) 広義の「マーケティング」だ。それをドライブするのは「経営」だ。

濱口社長:「デジタル」と「物語」が重要。
 -- 「物語」は「選ぶ理由」であろう。そしてそこには「共感」が必要になる。製品を買うことでその物語の一部になる。その物語の一員である自分を買っているといっていい、私もこれまで "私達が買うのはそのモノではなく、それを使っている「自分自身」" (「モノを売るのではなく新しい価値を売る」) とか、"クラウドファンディングで購入を決めた人、初期ロットで完成度70%段階で買った人は「わしがオールユアーズ を育てた」と思っているだろう" (「CXの時間軸 (CX DIVE 2019 その1)」) というようなことを書いてきた。

最初のセッション1st Stage のテーマは "真に「顧客の未来」を描く"。顧客の今に価値を提供するだけでなく、顧客の成長に貢献することが重要だというメッセージが見える。このセッションのモデレータはパラレルマーケター小島英揮氏。

小島英揮氏 "Sell To the Community" ではなく "Sell Through the Community"。コミュニティには3つのレイヤーがある。上から、リーダー、フォロワー、ワナビーズ。上位2レイヤーに力を入れる必要がある。コミュニティには3つのファーストが必要だ。1.コンテキスト、2.オフライン、3.アウトプット。
 -- 以前 (2005年) 書いた「インターネットマーケティング」では、フォロワーを多く持つブロガーにレビューしてもらって ... という程度だった。ブロガーとフォロワーの組み合わせはコミュニティといえるかもしれないが、このでのフォロワーは小島氏が定義するレイヤーでは基本的には特に何も貢献しないワナビーといえるだろう。商品の口コミはそこで終わり、"Sell To the Community" に留まっているといえるだろう。

松村大貴氏 (株式会社空)「飽和の時代のマーケティング」(事前インタビュー):
飽和の時代のマーケティングシフトは、拡大よりも価値発見、マスよりもパーソナル、モノよりもストーリー、WhatよりもWhy というシフトである。空は、ダイナミックプライシングサービス Magic Price を提供している。マーケティング 4P のうち Pricing が未開拓だが、Pricing の改善が利益に最も効いてくる。これが空のWhy。
 -- 松村氏の「Why」は、濱口社長の「物語」に繋がっているのではないか (Tweet)。どちらも「選ぶ理由」。

松村氏:Outside-In から Inside-Out への転換。ビジョンは調査では得られない。妄想からスタートするものでないと新しいものは生まれない。
 -- Outside-In はマーケットイン、Inside-Outはプロダクトアウト。以前はプロダクトアウトはダメでちゃんと市場の要求に応えるマーケットインが必要だといわれていたが、その限界が見えてきた。全く新しいマーケットを作るにはプロダクトアウトが必要だ。しかしこれに関することは昔から言われていて、ヘンリー・フォードの格言で「もし私が顧客に彼らの望むものを聞いていたら、彼らはもっと速い馬が欲しいと答えていただろう」というのがあった (「みんなソニーが大好き」)。

牟田口武志氏 (イケウチオーガニック):もとは海外ブランド (B2B) 中心で、自社ブランド (B2C) は1% しかなかった。2003年、問屋の倒産で大きな負債を負い民事再生法で再建することになった。1%の自社ブランドで再生を目指すというのはあり得ない選択だが、お客様の声が後押しになった。
 -- チャレンジだが、下請けを続けるより発展はあるだろう。必要なのは勇気だが、お客様の声が後押ししたといえるだろう。

牟田口氏:これにより、B2CがB2Bを超えた。ここで、B2B事業の再定義。共感してくれる企業を増やす。その人たちを紹介する場としてオウンドメディア「イケウチな人たち」を作った。ライター、カメラマン、編集部もイケウチファンで固めた。レストランSioオーナーがイケウチオーガニックに心酔し、おしぼりに採用、インタビューにも応じてくれた。インタビュー記事を読んで採用レストラン数10倍。
 -- 「コミュニティを通じたマーケティング」というとB2Cを想定するが、そのCから逆にBに影響を与えてB2Bになっている。

松尾佳亮氏 (Sansan):それまでデジタル領域での広告だけだったが、頭打ちになり、2013年からTV CMを始めた。2016年からコミュニティマーケティングを導入している。Sansanをそのプラットフォームとして活用している。
 -- サービス自体が人と人とをつなぐもので、コミュニティを形成している。このコミュニティを活用できる点は、このようなサービス特有なものだろう。以前 "顧客が作る「サービスの魅力」" ということを考えていたのを思い出した。

「広義のマーケティング」の話に戻るが、パネルディスカッションの中で「マーケティングはオーケストレーション。社員が納得していないとお客様に伝わらない」という言葉は響いた。自分に嘘をつきながら「魅力」を伝えても、聴く人からは気づかれてしまうよね。そしてこのことが、午後の2nd Stage のテーマ "組織は「共感」で変わる" につながる。それはまた別記事「その2」で。

パネルディスカッション

2019年7月15日月曜日

AIと倫理

もう2ヶ月前の話になるが、DEEP LEARNING LABのイベント「Build 2019 最新アップデート AI 編 / decode 2019 前夜祭」で、日本マイクロソフトの畠山 大有氏が登壇し、"The ethics of AI - AIの倫理的側面 - " という題で最近のAIの課題に関して話をされた。

機械学習は実データに基づき学習する。実データに偏り=bias があればそれが学習結果に反映される。シカゴ市で、市民がスマートフォンで道路の損傷の報告をできるようにし、そのデータに基づきどこから補修していくかをAIで決める施策をとったら、結果として金持ちの多い場所が修理されるようになった。スマートフォンの保有率が高い地域から多くデータが集まったからと考えられる。マイクロソフトの人工知能チャットボットも、ネットの会話から学んだため人種差別発言をするようになった (ねとらぼ 2016/03/25 Microsoftの人工知能「Tay」が緊急停止 ネットで人種差別や陰謀論を学んでしまったため)

Googleの機械翻訳で、
  He is a nurse.
  She is a doctor.
という文をトルコ語に翻訳させると、
  O bir hemşire.
  O bir doktor.
となる。このトルコ語を英語に再度翻訳すると、
  She is a nurse.
  He is a doctor.
となる。

トルコ語の三人称代名詞に男性女性の差はなく、トルコ語の翻訳はあっている。これを英語にする際に、三人称代名詞が男性か女性かによって選択する必要がある。医師は男性が多く、看護師は女性が多いという実世界の状況が、実世界に存在するテキストにも反映され、"He is a nurse." よりも "She is a nurse." のほうがより確からしいと判断するのだ。

そしてさらにAIの判断が実世界に影響を与える。人種により犯罪の検挙率が異なれば、特定の人種に対する取り締まりを強化することになり、さらに人種の偏りは大きくなっていく。

畠山氏は、この問題は、本質的に解決が難しいと語る。AIはデータのみで判断し、その判断基準が倫理的に正しいかは知らない。そして深層学習においてはその判断基準自体が人間から見えなくなっているのだ。

畠山氏がこの問題の解決は、データ作成の時点から品質管理を行う必要があると語る。そして、データの分析、監視を続ける必要がある。

Googleも当然このことに気がついており、取り組みを進めている。6月25日 INEVITABLE ja night - “インターネットの次にくるもの” 第 9 回 デベロッパーカンファレンスから読み解くテクノロジーの不可避な流れ において、及川卓也氏と小島英揮氏の対談で、現在のカンファレンスでの話題の中心が、技術だけでなく、人工知能の倫理面にあることが示された。Google I/Oでは、"People+AI Guidebook" が発表された。これは人間中心AIの設計指針である。

及川氏は、「Google は過ちをするが、すぐに修正してきた。Google Translate ドクタ/ナースのバイアスを修正。そのバイアスを除くノウハウを提供している。」と語っている。

それをさらに具体的に話したのが、佐藤 一憲氏。 Google は"Machine Learning Fairness"という概念を提唱し、バイアスを避ける取り組みを行なっている。その一つが、Open Images Extended。よりダイバーシティの高いイメージデータを構築し、オープンにする。また、Fairness Indicatorという機能を提供しており、データをある視点でセグメントに分けたとき (例えば性別など)、セグメントごとの精度を示す

先日来日したジェフ・ディーン氏がAIについて語っている記事があった (BUSINESS INSIDER 2019/07/11 Google AIトップが語った「機械学習モデルの公平性」はどう作り出すか)。
結婚式の写真について機械学習させるケースを一例にあげ、「北米からだけでなく、ほかの地域からも広く結婚式のデータをとってこなければならない。そうでないと日本やインドなど、世界にはさまざまなすばらしい結婚式が存在することを見逃してしまうだろう」と指摘。「データが世界中のあらゆるもの、多様性をしっかり反映しているか考えた上で、機械に学習させなければならない」と語った。
結婚式の例は、Open Images Extendedの具体例だろう。

このGoogleの取り組みは、畠山氏が語った「データ作成の時点から品質管理を行う」ということ、「データの分析、監視」と合致していると言える。

データのバイアスは知らない間に入っている。そこに気づき、避けるようにするためには、技術者もしっかりした知識と、何が避けなければいけないバイアスなのかの哲学が必要だと認識しておく必要がある。

2019年4月25日木曜日

紀里谷さん大暴れ (CX DIVE 2019 その3)

4月17日 CX DIVE 2019 のレポートその3には「五感を刺激する演出から学ぶ」のセッションをとりあげる。

登壇者は次の4名。ファシリテーターは長谷川リョーさん。

  • 草彅 洋平(株式会社東京ピストル代表取締役/編集者)
  • 永島 健志(81 オーナーシェフ)
  • 紀里谷 和明(映画監督・写真家)
  • 長谷川 リョー(『SENSORS』 編集長)

長谷川さんはプレイベント「CX DIVEの歩き方」で事前にこの日のセッションの進め方について語っていた。曰く「登壇者はバラバラ。共通していることは既成概念にとらわれないこと。聞きたいことはカオスの中でどう折り合いをつけてクリエーションするか」ということだった。

まあ実際カオスなセッションになった。何と言っても紀里谷さんだろう。最初は「五感」に関して、「人間がロボットみたいになっている。知識と情報で動いている。先日有名なレストランに行ったらすごくまずい。でも他の人たちはまずい食事をしてにこにこしている。誰も自分で判断しない」と強烈な一発。

それぞれのディスカッションもそこそこに早めに会場からの質疑応答になった。私も聞きたかったことだが、「五感を刺激する演出」に関しての質問があった。それに対して、特に「学ぶ」について、「テーマ自体がいい加減。学んで何をしようとしているの?お金儲け?もてたい?」とちゃぶ台返し。なお、自分に関しては「昔はそういう気はあったが、地球はあと100年しか持たない。そこでそういう気がなくなった。昔は騙されていた」とか言って微笑ましい。

この紀里谷節に草彅さんが感化されたのも面白かった。「CX DIVEの歩き方」で、草彅さんの話が出ていて、「草彅さんの特徴はサウナと宗教。いくつもの新興宗教にはまっている。青山にゴッドバーというのを開いた」というのを聞いていたが、この日も皆が宗教方面に話をもっていかないようにしている中、紀里谷さんを教祖扱いし出していた。サウナに関しても「本は売れなくなっている。本が出すぎていて、届かない。今はリアルイベントが強い。そこでサウナですよ」と自分のフィールドにつなげる。

長谷川さんの聞きたかったこととして「カオスの中でどう折り合いをつけてクリエーションするか」ということがあったが、このセッション自体がカオスであり、「五感を刺激する演出」だったのではないかと思った。

2019年4月23日火曜日

スポーツとCX (CX DIVE 2019 その2)

4月17日 CX DIVE 2019 のレポートその2。「スポーツとCXのこれから」を取り上げる。

実は、3月に「スポーツの可能性と新しい観戦体験 athlte port-D ファイナルイベント」 というイベントがあって、  為末大氏、フェンシングの太田雄貴氏、ハンドボール協会の湧永寛仁氏、ダンス界からカリスマカンタロー氏ら多彩な登壇者の対談を聞いてきた。ここではフェンシングの新しい見せ方、ダンス業界がバトル形式でファンを売やしてきたことなど、新しい取り組みがいろいろ聞けて刺激になった。

今回のセッションもそのイベントと関連性が高く、期待して臨んだ。

登壇者は次の皆さん。

  • 葦原 一正 (B.LEAGUE 事務局長)
  • 杉本 渉 (Jリーグデジタル コミュニケーション戦略部 部長)
  • 池田 憲士郎 (Vリーグ ヴォレアス北海道 代表取締役)
池田氏はもともとバレーボールの選手であったが、球団経営は門外漢。地元旭川が元気がないのでバレーボールチームを立ち上げた。VリーグはJリーグや新興のBリーグと比べメディア露出が少なく、地味な印象を受ける。その中でビジュアルに力を入れており圧倒的な存在感を出している。相場を知らないためチケットも高額に設定していて、言わば新参者の破壊者だ。「嫌われてないですか」という質問に「嫌われてます」と答えていた。

杉本氏はもともとYahoo!でスポーツナビをやっていた人で、Jリーグに来てオウンドメシアおよびアプリを開発運営している。

葦原氏のBリーグは、2015年に立ち上がったばかり。成長率が高い。今のところマーケティングに関しては「普通」という。ただしガバナンスには力を入れているという。

さてスポーツとCXの関係だが、「観戦が体験」ということで一致していた。そもそもスポーツは感動するものちうことで、その場に来てくれればわかる、ということである。「どうやれば観に来てくれるか」が課題で、現在は人に誘われてくるということが多いため、抽選でペアチケットをプレゼントすることなどが取り組みとしてある。

見てもらえばわかる、というのは先日のイベントのフェンシングなどと違うところだろう。サッカーもバレーボールも、皆学校で試合をしたことがあり、ルールもすごいプレーもわかる。一方、フェンシングではそれがわからないため、選手の動きの意味をビジュアライゼーションで理解できるようにしている。


また、ルールがわかりやすい新しい種目を開発していて、新しい正式種目に加えたいということであった。

ハンドボールでは、選手を自動追尾するカメラを導入して全部撮っている。好きな選手だけを注目してみたり、俯瞰してみることができるとのこと。

ダンスは、コンテストから1対1バトルで人気が広がり、さらに今ではTikTokですそ野が広がっている。

今回出たメジャースポーツでは、このような取り組みは必要がないのかもしれない。しかし、2部3部リーグでも地元に定着している海外と比べると、まだ裾野を広げる余地があると思う。キーになるのは観戦以外の体験ではないか。選手一人一人の物語にフォーカスをあてたり、ダンスのように皆が参加したくなる取り組みに開拓の余地があると思う。


2019年4月21日日曜日

CXの時間軸 (CX DIVE 2019 その1)

4月17日、CX DIVE 2019 に参加した。オープニングセッション、キーノートセッション、クロージングセッション以外は2つのパラレルセッションで、以下のセッションに参加した。
  • 「テクノロジーにより進化するコミュニケーションとCXの未来」
  • 「当たり前を疑い、感動する体験を生み出す」
  • 「五感を刺激する演出から学ぶ」→ その3
  • 「スポーツとCXのこれから」→ その2
ここでは、「当たり前を疑い、感動する体験を生み出す」をまとめる。

登壇者は次の皆さん。米田氏のファシリテーションで話が進んだ。
  • 米津 雄介(THE株式会社 代表取締役/プロダクトマネージャー)
  • 米田 智彦(FINDERS創刊編集長/文筆家)
  • 木村 まさし(株式会社オールユアーズ 代表取締役)
  • 宮野 浩史(株式会社クリスプ 代表取締役/株式会社カチリ 代表取締役)
米津氏のTHE株式会社は、THEおわん、THE醤油さしなど、他のメーカーと協力してそのジャンルのど真ん中を目指して作る。ど真ん中というのは、今ある平均点ではなく、「本当はこうだったらいいな」ということ。例えばTHE醤油さしは、液だれしない醤油さし。また、東京と京都に直営店を持っている。自社製品だけでなく、もともとTHEといえる製品があるジャンルはそれを出す。

木村氏のオールユアーズは、クラウドファンディングで洋服を作り、売る会社。この会社のことは、Abeja SIX 2019 で、家入一真氏の話の中で事例として出てきた。木村氏は、お客様でなく共犯者と呼んでいる。これは分かりにくいかもしれないが、クラウドファンディングでお金を出すということは、その製品を世に出すことの決定権を握っているということだ。

宮野氏のクリスプは、カスタマイズできるサラダの専門店。アプリで注文できる。そしてそのアプリのプラットフォームを他のお店にも提供している。それによりお店が自分の注文サイトができる。

米田氏は、「共通していることは、プロダクトアウトであるということ」とまとめた。マーケティングリサーチでは出てこない、自分が本当に良いものを提供する。マーケティングリサーチでは、顧客が想像するものの平均値しか出てこないだろう。これはTHEが脱却しようとしているものだ。木村氏は「おしゃれは我慢」という考え方を変えたいという思いで製品を開発している。流行に流されない、ずっと着れるものを提案している。宮野氏は、季節メニューを出さず、常に同じメニューを出している。季節メニューがないと怖いと思っているだけではないか。お客様自身がカスタマイズできることは大きな強み。

このセッションで一番重要だと思ったのは、米田氏の「CXでは時間の軸が変わっているのではないか」ということであった。「CXとUX」でも書いたが、「(UX/CXは) 製品の使用前、使用中、使用後における体験全てを含む」ということで、使用中だけの問題ではない。

米津氏は長く使えるものの価値を重要視しているようで、「うれしいのは修理依頼」、「お客様にも長く使うか本当に必要か考えてもらう」と語った。これは購入前、購入時の体験だ。宮野氏は、「今は誰でもおいしいものを作ることができる。おいしいことは競争優位性ではない。お店の作りも同様だ。競争優位性は人。注文のやり取りはコンピューターでもできるので、お客様にかける一声が競争優位性を作る」と語った。これも購入時 (使用前) の体験だ。

木村氏は「うちは製品の体験がすべて。着て気持ちいい」と語ったが、これは違うのではないか。クラウドファンディングで購入を決めた人、初期ロットで完成度70%段階で買った人は「わしがオールユアーズ を育てた」と思っているだろうし、それもCXじゃないかと思う。このことをツイートしたら、木村氏から同意のリプライをいただいた。うれしい。

これは皆さんに共通することだが、コアなファンがついている。その人たちは直接使っている時だけでなくて、きっとそれ以外の時でも、会話やツイッターなどで他人に語りたくなっているし、実際に実行していると思う。そのこと自身が、製品やサービスへの愛を強めているだろう。そのためには愛される製品、サービスに注力する必要があるだろう。そしてそれを支えているのが、元に戻るが、作り手の思いが詰まったプロダクトアウトだ。

後のほうで「お客の期待を超える」という話題があった。これに関しては皆さん自信を持っているようで、特に米津氏の「たかが醤油さしを死ぬほど考えたりする人はいない。お客様より知っている。商品を作るときにめちゃくちゃ歴史を調べる」という発言に共感した。

CXを考える上で最も有益なセッションだったと思う。

2019年4月16日火曜日

CXとUX

4月17日、CXに関する大規模なイベントCX DIVE 2019 が開催される。このイベントは3月に行われたGoogle の "inevitable ja night" に登壇されたプレイドの牧野氏の話で知った。それに先立つ4月15日「CX DIVEの歩き方」というプレイベントがあり、そちらにも参加した。

モデレーターはモリジュンヤ氏 (inquire代表 / 「XD (クロスディー)」編集パートナー)、登壇者は、長谷川 リョー氏 (『SENSORS』 編集長)、米田 智彦氏 (FINDERS創刊編集長 / 文筆家)。皆さん編集の分野では有名な方のようです (すみません、技術分野以外疎くて)。

話題に上がったのは、
  • 最近顧客として感動したこと
  • 顧客が求めるものの変化
  • CX DIVE 担当セッションについて
    • 長谷川:「五感を刺激する演出から学ぶ」
    • 米田:「当たり前を疑い、感動する体験を生み出す」
  • 担当外の期待セッション
  • 最後に、意気込み
と多岐にわたる。最初のテーマでは、いろいろ知らないサービスが紹介されていて興味深かった。一方、担当セッションのところ、それ以外のセッションのテーマのところは、それぞれ登壇者のキャラクターにフォーカスがあたり、本番に期待が沸いてくる。

さて、"CX" という言葉は、”Customer Experience" の略である。一方、"UX" (User Experience) という言葉もある。"UX" については、「UIデザインとUXデザイン」で、
  • 製品の使用前、使用中、使用後における体験全てを含む
  • UXの良否はユーザーの内心の評価基準で決まる (ユーザー以外に物差しはない)
  • サービス以外の要因 (宣伝、評判、本人の知識、使用環境など) に影響される
ということを学んだ。お店のディスプレイに惹かれて買った。評判もいいし悪い気はしない。同じものを買った人と話が弾む。故障したけどすぐに修理してくれて不愉快な思いをしなかった。新しい製品に変えたけど愛着があってなかなか捨てられない。すべて UX の構成要素だ。

ただ、どうしても "UI" という言葉に引きずられる傾向があると思われ、そのために "CX" という名前を新たに定義したのではないかと思っていた。これなら上記のような要素を含めて違和感はない。

しかし、この日のお話を聞いていると、どうも "UX" と "CX" は違うという点で一致しているようだ。そしてこの場で言われている "CX" は、私が理解していた "UX" の定義と同じように思われる。そこで質問の時間に、"UX" と "CX "の違いについて質問した。

モリ氏に頂いた答によれば、ここでの "CX" は私が理解していた "UX" と同じもの。"UX" のほうがもう少し限定された意味のようだ。モリ氏によれば、"UX" の使い方には人によって幅があり、UIによって得られる体験から、ここでいう "CX" まで広がっているという。

今後はその点を注意して、特に "UX" という言葉を使うのはできるだけ避けて、"CX" という言葉を使っていきたい。

2019年4月13日土曜日

トレジャーハンティングといけにえアイデア

4月11日、RCA と IIS Design Lab の Inspire Talks を聴きに行った。2月のテーマは「バイオ」だったが、今回のテーマは「マテリアル」。

最初のトークは東京大学 大学院情報理工学系研究科 川原研究室 鳴海 紘也氏の「マテリアル志向インタフェース」。素材からどう使うかを考える。

一つは紙で作るロボット "Liquid Pouch Motor"。パウチの中に34度で沸騰する液体がいれてあり、紙に印刷した回路で温めることによりパウチを膨張させて、蝶の羽を動かす。これをドーム全体に張り付けたものがPapillion。Paperと Papillon (パピョン = 蝶) と Pavilion (パビリオン) を合成した名前だね。この蝶ひとつひとつが自動開閉の窓になっていて、寒いときには窓が閉じ、暖かくなると窓があき、換気がなされる。

A LIVE UN LIVE
森美術館で行われている「六本木クロッシング2019展」に出展されている "A LIVE UN LIVE" もこれでできている。光の当たりかたにより色が変わるドレス。光の当て方を変えていると思っていたのだが、ドレスの蝶が羽を広げたり閉じたりすることで、光を受ける方が方向を変えていたのだ。そういうところは注意してみていなかったので、もう1回行ってちゃんと見てこようと思う。

もう一つは、自己修復素材PBSを用いたもの。これに関してはまだ発表前だということで、これ以上の説明はここでは控える。会場からの質問で、自己修復素材にはハイドロゲルというものもあるそうだが、これは乾燥するとその機能を失うのに対して、PBSは長い間使え、何回切っても修復するとのこと。

東京大学生産技術研究所 岡部 徹教授のお話のテーマは「チタン」。研究テーマはチタンの新しい精錬方法などだが、チタンを用いた椅子などのデザインを行っていて、昨年国立新美術館で行われた「もしかする未来」展にも出展したとのこと (これは行きたかったな)。デザインは山中俊二氏との共同作品。

デザインの話よりも岡部氏の「チタン愛」が興味深かった。チタンはレアメタルといっても、9番目に多い金属だそうだ。 今は精錬が難しいためレアメタルになっているが、精錬技術が進んでくるとそのうちコモンマテリアルになるだろうという。今は航空機、ロケットなど金に糸目をつけない分野でよく使われているが、今後安価になったらどういう使い方がされているだろうか。

最後のお話は、東京大学生産技術研究所ノルウェン・モデ氏の「Science * Design」。これは特定のマテリアルの話ではなく、研究所全体のお話で、「 どのように科学とデザインがコラボしていくか」というメタ視点にたった研究に関してであった。この研究は、
  • デザイナーと科学者の違いを発見整理し、
  • コラボのアウトプットがどのようなものかを調査し、
  • コラボレーションの方法を検討する
ものである。特に、コラボレーションの方法では次の2つの手法を考案した。
  • トレジャーハンティング:デザイナーが各研究室をめぐり、コラボレーションの種を特定していく。18人のデザイナーと10の研究室が参加し、109のアイデアが生まれた。
  • いけにえアイデア: 取るに足らないアイデアを批評してもらうことで、制約や新たな可能性を探る。
今後の課題は、この方法をブラッシュアップさせるとともに、普及を図ることだということだ。

よくコラボレーションでイノベーションが生まれるという。だが、ただ同じところにいるだけでは、交流は生まれても、イノベーションが生まれるまでには至らない。ここで提案されているような進め方は深い考察を必要とするもので、イノベーションにつながる確率は高そうに思う。

2019年4月7日日曜日

TEAMZ BLOCKCHAIN SUMMIT 2019 Day 1

TEAMZ BLOCKCHAIN SUMMIT 2019 の 1Day Passを貰ったので、初日の4月6日に行ってきた。ブロックチェーンに関しては専門外で、純粋に勉強が目的になる。

今回、様々な応用、ビジネス事例、プライバシー、セキュリティ、法的な問題など、話題がぎゅっと詰められていて濃度の高いイベントだった。30分のパネルディスカッションが6本も入れてある。通常のイベントではパネルディスカッションは1時間から90分くらいあるが、その半分以上はパネリストの個人発表で埋められているので、純粋にディスカッション部分を切り出した形式はなかなかいいものだと思った。通常ある会場からの質問も、的外れのものであったり、質問じゃなくて自分の意見を言いたい人が出たりと、あまりうまくいかないことも多いので、今回それがないのも濃度が高いことに貢献していると思う。

以下、その中で気になったものをメモ。

パネルディスカッション:ブロックチェーン業界においてイーロン・マスクのような"超人"は必要か?日本の大手企業からみるブロックチェーンの新しい動向

登壇者は、日本オラクル大橋雅人氏、マイクロソフト西脇資哲氏、日本IBM 平山毅氏、富士通総研 松本泰明氏、LINE砂金信一郎氏。ブロックチェーンの可能性、日本の課題などのお題の後、最後に「なぜイーロンマスクか? そういう存在がいるのかいないのか?」の話になった。西脇氏「IT系のイベントにはスーツ族が多い。今日この参加者はちょっと違う。この中から出てくるのでは出てくるのではないか」、大橋氏「だれかがやるのではなくあなたがそうなってほしい」、砂金氏「LINEから、LINEのコミュニティから出てほしい。スマートコントラクトを使って」というお話に共感をもった。

MARK.SPACE 原田氏

皆が集まって日常活動を行うVR空間を提供する。人と会ったり、授業を受けたり、買い物をしたりできる。自分の体形を再現したアバターを使って試着したりできる。ビジネスモデルとしては、プラットフォーマーとして事業を行う。VR空間の土地を売ったり、VR空間上の取引で手数料をもらう。

この話を聞いて思い出すのは、セカンドライフ。当時は話題になって、大手企業もこぞって仮想空間にお店を出したりしていたが、いつの間にかしぼんだ。ここからどういう教訓を得るのか考えておいた方が良い。

ラリー・サンガー氏
Decentralize Social  Media - Wikipedia 共同創業者、Everipedia CIO ラリー・サンガー氏

ソーシャルメディア企業は、顧客のデータを保有する一方、エクスポートを提供しないことで顧客が自分自身のデータを用いることを制限している。これに対してソーシャルメディアを分散化させる。ここでは個々の投稿はマイクロポストという。標準プロトコルを用いて囲い込みを避ける。Twitterのジャック・ドーシーに話をしたら、全面的に同意を得たとのこと。

Wikipedia の創業者が、今はそのDapp (分散アプリ) 版 Everipedia に取り組んでいるのが面白い。Wikipediaにある課題のひとつ書き換え合戦なども、ブロックチェーンで解決できるのだろうと思う。

森氏
アジア発の次世代型グローバルエンタメプロジェクト - Z-POP DREAM創業者 亀島 則充氏、CTO 森氏

Z-Pop は、世界7地域からオーディションを行い、ファンが投票して、投票で残った候補者を売り出す。2018/08-09 リクルートを行い、2019/02 男性グループZBoysと女性グループZGirlsがデビューした。

単に新しいタレントを発掘するだけのものではない。ファンがタレントを育てるプロセスを作っている。ファンにタレントを育てるパワーを与える。森氏が語るキーワードはPower & Love だ。これはこれまでの音楽業界に対する破壊的改革になる。

パネルディスカッション: WHICH DAPP IS DAPPER? -技術とは-

パネルディスカッション
画面に表示されていたテーマは「Stop Talking Profit, Blockchain Can Change The World」*。仮想通貨以外でブロックチェーンの応用で注目されるものが話し合われた。特に、Canaan Creative の Kevin Shao 氏が「ブロックチェーンでスタートアップや小さい企業でも資金集めができるようになる」 という話は、3月のAbeja SIX 2019 でのCAMPFIRE 家入一真氏のビジョンと同じ方向と思った。
* これは本当は2日目にあるディスカッションのテーマだったんですね。なんらかの間違いであがっていたのでしょう。

今回、ツイッターでの投稿にハッシュタグ #TEAMZSummit2019 をつけると、パネルディスカッション時などにスクリーンに投影される (パネリストの発言と異なる話題のツイートが表示されるのでパネルディスカッション時は避けた方がよかった)。なぜか妙な翻訳が入っていて、アカウント名 "R.Yoshihiro Ueda" の ”Yoshihiro" が「義弘」と変換されていた。これはまあ仕方がないとして、「家入さんのビジョン」が「家入さんのビジネス」になっていたのは謎。

今度初めて知った用語もいくつもあった。メモを取りながら検索していた。
  • Dapp: 分散アプリケーション
  • Tx: トランザクション
  • スマートコントラクト: 仲介者を介さず、条件が整うだけで契約が実行できる仕組み。
  • STO: Security Token Offering。仮想通貨と違って実際の資産的価値のあるものと結びついている
  • IEO: Initial Exchange Offering。資金調達の仕組み

2019年3月22日金曜日

AIと異分野の交流

3月21日、全脳アーキテクチャ若手の会の「第3回異分野交流会 -学問の垣根を越えて知能とAIを考える-」に参加した。

AI / 機械学習は基盤技術であって、さまざまな分野で応用できる。その意味で異分野との接点が出てくる。

しかし、この日の異分野交流はまた別の意味があった。それはAI自体、AI基盤の今後の発展を考える上で異分野の知見が欠かせないということであろう。登壇者は、認知科学、心理学、神経医学/精神医学、生物学、科学哲学、管理会計学など多彩な分野から、AIや知能の問題との関連を語っていただいた。単一の分野の視点というのではなく、複数の分野にわたった知見から考察している人もいて、大いに刺激になった。

最初の若手の会会長の八木拓真氏は、人工知能研究の立場からの話で、この中ではむしろ異質といえる。しかし人工知能の今後に関しては、人工知能研究を一段上から俯瞰してみた上での考察で、今まで気が付いていなかった考えになるほどと思った。

それは、人工知能の実装には「帰納バイアス」があるということだ。これは、「暗黙的に用いている仮説の集合」で、簡単な例では、線形回帰が使えるものか別の関係が必要なのかとか、想定されるデータの範囲があることなどがある。また、サンプルしているデータの属性も限定される。そのために、「実世界をどう切り取るか」が重要なポイントとなる。そして今後は、ドメイン知識を帰納バイアスにうまく使うことが求められるという。つまり、今はそのまま生データをつっこんで学習させているが、データの中の制約、データ間の制約を生かすことでより良い学習が可能になるということであろう。自然言語処理においては、これまで培ってきた構文ルール、意味関係の制約、文脈、談話構造などの研究成果を、単語ベクトルの羅列とどう組み合わせていくかが次の段階になるのあろうと思う。

今回いちばん会場がわいたのが、大阪大学 高橋英之氏による招待講演 "「ちのう」と「あい」の構成論を目指して"。効率を目的とするのではなく、人の幸せを目的としたAIを目指すということだ。しかしそこにはジレンマがあって、人間を幸せにするような制御しようとしても、それに気づいてしまうと幸せを失われる。人をサポートするロボットも、どうしても開発者が良かれと思って埋め込んだ機能が「あざとさ」として表出される。ペッパーの写真がちらっと出たのだけれど、この会場がYahoo! LODGEだったので「これまずかったですね」で会場爆笑。彼が理想とするのは、「フランダースの犬」パトラッシュ。ネロのそばにいるだけで何も役に立つことをするわけではないが、ネロにとっては心の支えになっている。そのほか、「人間に対して何もしない」ロシアの神様、「レンタル何もしない人」の例が出された。

触感がこの感覚を伝えるのに効果的だというが、触感は一つの物質でひとつの触感に固定されるため、その代わりに「空気」を使う。具体的にはプロジェクションで部屋の雰囲気を変えるという。

このあと9人の登壇者が、自分の専門からAIや知能について語るのだが、それぞれ持ち時間が15分しかないため、濃密な話になった。聴く方としては消化不良になる感じもあったが、この濃密感が知識のシャワーみたいで良かったのではないかと思う。これは3月11日に行われた日本学術会議の公開シンポジウム 「That's Interesting:ICT研究はどこに向かうのか」で狙いとしていたものに近いのではないか。

特に、どこかの研究所の匿名研究員きなこさんと、上智大学 上田桃子さんによる哲学の話が、自分の分野と離れていて興味深かった。逆に自然言語処理の分野の京都大学 清丸 寛一氏の話は「ことばの意味を探して -AIにビールを教えたい-」は、私の現在の関心である「自然言語処理において理解とは何か」にずばり切り込んだお話で、共感を持って聞けた。

最後に「若手の会」の会なのにオヤジが参加して申し訳ありません。でもまた参加したいと思います。

2019年2月6日水曜日

UIデザインとUXデザイン

2月4日、「Web開発者のためのUI/UXデザイン基礎講座」というセミナーに参加した。有料セミナーだが、「ブログ書く枠」というのがあってブログを書く条件で無料で参加させていただいた。

Webアプリは作ったことはあるのだが、かっこいいデザインではなく、ユーザビリティも「一般のUIを知っている人なら使える」程度だった。そこでこの講座を知り、次のために役立てたいと思ったのだ。

通常はUIデザインというところ、UX (User Experience) デザインも含めているのは、使いやすいだけでなく「体験」を含めて素晴らしいものを作る方法論が知れると思ったのだ。アジェンダを見ると、「HCDプロセス」(Human Centered Design Process) も含まれており、ただ「UX = 素晴らしいUI」と考えているわけではなさそう。

しかしHCDプロセスは実際の行動を観察したり行動に関してインタビューしたりで、Webとは相性は良くなさそう。実際にHCDをWebデザインに適用したという例は私は聞いたことがなかった。

という訳で、
  • 次のWeb開発ではUXも考慮しつつ、かつかっこいいデザインを採用したい
  • HCDをWebデザインに適用するとはどういうことか
ということが学べると期待して参加した。

講師は森山明宏氏。OA機器メーカーでユーザビリティを担当して、その後独立して現在のユーリカ株式会社を設立されたとのことで、HCDを実践されてきた専門家である。

最初にUXとUIの違いに関して説明があり、これにより「UX = 素晴らしいUI」といった薄っぺらい定義でないことがわかる。
  • UI: 人間と機会が情報をやり取りするために設けられた部位。例) ボタン、ダイアログなど
  • UX: 製品やシステム、サービスの利用、および/もしくは予想された使い方によってもたらされる人々の知覚と反応のこと
というようにまるっきり違う。私自身はこのUIの定義は「UI部品」の定義であって、UIは「UI部品の組み合わせと動き、部品をどう使うか」ということだと理解していたので、質問したが、私の理解は「UIデザイン」の定義であるとのことであった。

そうするとUXのデザインはUIのデザインと全く異なることになる。実際講義で説明されたのは、HCDプロセスそのものといって良い。ここで学んだ/学べるポイントは以下の通り。
  • UXとは何か
    • 製品の使用前、使用中、使用後における体験全てを含む
    • UXの良否はユーザーの内心の評価基準で決まる (ユーザー以外に物差しはない)
    • サービス以外の要因 (宣伝、評判、本人の知識、使用環境など) に影響される
  • UXデザイン = HCDプロセス  (人間中心設計)
    • 利用状況の把握と調査: ユーザー調査  (インタビュー、観察) → 「体験談を集める作業」
    • 要求分析: ペルソナ/シナリオ法、カスタマージャーニーマップ (シナリオをフローチャート化したもの)
    • 解決策の作成: 試作品 (プロトタイプ)
    • 評価: ユーザーテスト、認知的ウォークスルー、ヒューリスティック評価
と、私が学んだことがあるデザイン思考と基本的に齟齬がないことがわかった。

このように、「Webアプリの開発においても、HCDプロセスにしたがって行いましょう」というのが本講座の主眼となるものであった。直接UIデザインに繋がるノウハウが得られるわけではなく、私の期待の一つ「Web開発ではUXも考慮しつつ、かつかっこいいデザインを採用したい」はこれだけでは

ただし、Web開発に関しては優良事例に学ぶ (真似る) ということも重要なものとしてあげられた。「UIデザインパターン」を学び、実践するだけでも50点は取れるとのこと。

全体として、UXとUIの違い、UXデザインの進め方がよく理解できる講座だったと思う。UXとUIをごっちゃにしている人の批判も含めつつ、歯切れの良いレクチャーであった。私のもう一つの期待「HCDをWebデザインに適用するとはどういうことか」も理解できた (基本的にプロダクトもWebサービスも変わらない)。

2019年1月29日火曜日

AI開発に関わる法律の知識

先日、以下のセミナーを受講してきた。

AI開発を円滑に進めるための契約・法務・知財  (2019/1/25)

AIの開発、特に自社開発ではなくベンダーを使った開発には、他のシステム開発と異なる問題がある。一つはAI開発でできる中間成果物の帰属で、納入する最終製品以外に、元データ、学習データ、学習済みモデルなどは誰にその知的財産権があるのか、誰が使えるのかという問題である。もう一つは責任の所在の問題で、期待した性能が出なかった場合に発生する損害をどうするか、AIが誤動作したした時に発生する責任を誰が持つかということがある。

講師は、経産省の「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」をまとめたメンバーの一人柿沼弁護士。難しい法律の問題を整理した形で提示していただき、よく理解できた。

例えば、あるものの法律的位置付けは、法律の規定があるか否か、契約があるか否かのマトリクスできまる。

  契約なし 契約あり
法律の規定あり 法律の規定に従う 契約優先
法律の規定なし ルールなし 契約通り

そしてそれぞれの対象に対して、その取得方法の違いにより、適用される法律は何かを示し、その結果権利がどこに所属するかが解説された。

知的財産権を規定する法律として

  • 特許
  • 著作権
  • 不正競争防止法に基づく制約

をあげ、各対象  (生データ、学習用データセット、プログラム、学習済みモデル、パラメータ、ノウハウ) にどれが適用できるのかが示された。

特に著作権では、今年の1月1日から施行された著作権法30条の4  (文化庁 著作権法の一部を改正する法律(平成30年法律第30号)について) に関しては、追えていなかったので大いに参考になった。
  • 思想又は感情の享受を目的としない利用の場合に、
    • 技術の開発等のための試験の用に供する場合
    • 情報解析の用に供する場合 → AI開発
    • 人の知覚による認識を伴うことなく電子計算機による情報処理の過程における利用等に供する場合
  • その必要と認められる限度において,利用することができる → 利用の幅が広がった
商用利用も含まれ、これは世界でも類をみない緩さで、これで日本がAI開発に最も有利な国になったという (STORIA法律事務所ブログ 2018/09/02 「進化する機械学習パラダイス ~改正著作権法が日本のAI開発をさらに加速する~」)。

整理された説明は、権利だけでなく、個人情報の提供に関してもどういう条件で第三者であるベンダーに渡せるのかについても同様だった。

例えば、個人情報を含むデータを用いて学習するシステムの場合、AIベンダーが開発終了後に事業者に返す場合は、委託の条件を満たしていれば第三者に横流ししていることにならない。一方、AIベンダーがそのデータを用いて自分で事業を行う場合は、第三者にあたり、個人情報を提供した人の同意を得る必要がある、など。

それらの問題の解決は、開発の契約において、契約において明確にする必要があるということである。開発における責任の所在の問題も同様で、アセスメントやPoCなど開発の段階に応じて契約を分け、契約の種類としては「準委任契約」という方法で責任の範囲を限定する方法が示された。

ここでは一部のみ自分が理解した範囲でまとめたが、発表のスライド全体が下記にあるので参考にされたい。
SlideShare AI開発を円滑に進めるための契約・法務・知財

2019年1月14日月曜日

VR元年から3年

「VR元年」という言葉があった。検索してみると、2016年がそう言われていたようだ。
2016年はなぜ「VR元年」と呼ばれているのか? - VR Journal


Oculus Riftが出たのが2016年。その時は10万円だが今は約5万円 (Amazon.com)。まだまだ高く感じる。しかし2018年に出たOculus Go (Amazon.com でほぼ3万円) とDaydream View (Amazon.com で6,000円ちょっとだが別にスマートフォンが必要) が状況を変えるとこの記事では言っている。

でもやはり一般には話題になっていないように感じる。ポケモンGoのようなキラーアプリがない。

昨年末あたりからいくつかVRを体験してきて、VRは何に使うのが適切なのか考えさせられた。
EDGEof xR & xR International Gathering × La French Techの"xR"はeXtended Realityで、AR (Augmented Reality), VR (Virtual Reality) を包含する概念。このイベントはFrench Techとあるように在日フランス大使館が主催者の一翼を担っており、フランスのスタートアップがピッチセッションとデモを行った。

このうちSkyreal.incとVirtual Room.incのデモを体験した。Skyrealはロケットの部品を移動させたり、そこで新しい部品を空中に描いてそれを取り付けたりするもので、共同設計やトレーニングの支援になるという。Virtual Roomは仮想博物館で、博物館の内部が再現されている。ゲームセンター用の脱出ゲームも作っている。Skyreal.incはビジネス向け、Virtual Room.incはエンタテインメント向けということになる。他にビジネス向けとしてはVR会議 teemewのManzalab.incと、VR による外科手術トレーニングのVirtulisurg.incがある。

EDGEof xR & xR International Gathering × La French Tech では、事前のプログラムには乗っていなかったが、Enhanceの水口哲也氏 (というよりも「元セガの水口哲也氏」と言った方がわかりやすいか) のプレゼンがあった。これまでリリースしてきた、xR コンテンツ (2001 Rez、2011 Child of Eden @ TED Tokyo、2016 Rez infinite、2018 Tetris Effect、Ventなど) の振り返り。


さらに水口氏の話は、共感覚、カンジンスキー、バウハウスに発展する。ここらあたりはちょっと追いついて行けなくなっていたが、最後に語った「これまでは、現実世界を切り取ってきた。これからは現実世界との融合。21世紀は体験の時代。感動、心の豊かさ、多幸感の時代」という言葉はそうなのかと受け入れられた。

そういう意味で、水口氏が関わってきたエンタテインメント、アートへの応用は、彼にとっては自然な流れなんだと思う。最初に出した疑問「VRは何に使うのが適切なのか」の答えはここなのだろうか。

NTTインターコミュニケーションセンターへは《ZONE EATER》を体験しに行ったのだが、そこで別のVR作品《The Other in You》に出会った。《ZONE EATER》はある部屋にいる音楽を奏でたりスポーツをしていたりするキャラクターに憑依してその人のアクティビティを体験できる作品。一方の《The Other in You》は逆に表情のないキャラクターに憑依されるような作品だった。「体験」ではあったが、「感動、心の豊かさ、多幸感」は感じられなかったな。

もちろんアートなので実験的な側面が大きい。この実験の中からキラーアプリが出てくるのかもしれない。チームラボの一連の作品は、VRとはちょっと違うかもしれないが、もっとも近い位置にあるのではないか。

そうそう、一番大きな障壁はゴーグルだと思う。これ家でつける? 会社でつけて会議やる? ARはスマートフォンをかざしてという使い方があるが、VRもつけて違和感のないデバイスが必要だと思う。デバイスがいらないチームラボの方向性がその意味でも受け入れやすいと思われる。

結論がアートの方に進んでしまったので、本館の方で書いた方が良い題材だったかもしれませんね。