2019年4月25日木曜日

紀里谷さん大暴れ (CX DIVE 2019 その3)

4月17日 CX DIVE 2019 のレポートその3には「五感を刺激する演出から学ぶ」のセッションをとりあげる。

登壇者は次の4名。ファシリテーターは長谷川リョーさん。

  • 草彅 洋平(株式会社東京ピストル代表取締役/編集者)
  • 永島 健志(81 オーナーシェフ)
  • 紀里谷 和明(映画監督・写真家)
  • 長谷川 リョー(『SENSORS』 編集長)

長谷川さんはプレイベント「CX DIVEの歩き方」で事前にこの日のセッションの進め方について語っていた。曰く「登壇者はバラバラ。共通していることは既成概念にとらわれないこと。聞きたいことはカオスの中でどう折り合いをつけてクリエーションするか」ということだった。

まあ実際カオスなセッションになった。何と言っても紀里谷さんだろう。最初は「五感」に関して、「人間がロボットみたいになっている。知識と情報で動いている。先日有名なレストランに行ったらすごくまずい。でも他の人たちはまずい食事をしてにこにこしている。誰も自分で判断しない」と強烈な一発。

それぞれのディスカッションもそこそこに早めに会場からの質疑応答になった。私も聞きたかったことだが、「五感を刺激する演出」に関しての質問があった。それに対して、特に「学ぶ」について、「テーマ自体がいい加減。学んで何をしようとしているの?お金儲け?もてたい?」とちゃぶ台返し。なお、自分に関しては「昔はそういう気はあったが、地球はあと100年しか持たない。そこでそういう気がなくなった。昔は騙されていた」とか言って微笑ましい。

この紀里谷節に草彅さんが感化されたのも面白かった。「CX DIVEの歩き方」で、草彅さんの話が出ていて、「草彅さんの特徴はサウナと宗教。いくつもの新興宗教にはまっている。青山にゴッドバーというのを開いた」というのを聞いていたが、この日も皆が宗教方面に話をもっていかないようにしている中、紀里谷さんを教祖扱いし出していた。サウナに関しても「本は売れなくなっている。本が出すぎていて、届かない。今はリアルイベントが強い。そこでサウナですよ」と自分のフィールドにつなげる。

長谷川さんの聞きたかったこととして「カオスの中でどう折り合いをつけてクリエーションするか」ということがあったが、このセッション自体がカオスであり、「五感を刺激する演出」だったのではないかと思った。

2019年4月23日火曜日

スポーツとCX (CX DIVE 2019 その2)

4月17日 CX DIVE 2019 のレポートその2。「スポーツとCXのこれから」を取り上げる。

実は、3月に「スポーツの可能性と新しい観戦体験 athlte port-D ファイナルイベント」 というイベントがあって、  為末大氏、フェンシングの太田雄貴氏、ハンドボール協会の湧永寛仁氏、ダンス界からカリスマカンタロー氏ら多彩な登壇者の対談を聞いてきた。ここではフェンシングの新しい見せ方、ダンス業界がバトル形式でファンを売やしてきたことなど、新しい取り組みがいろいろ聞けて刺激になった。

今回のセッションもそのイベントと関連性が高く、期待して臨んだ。

登壇者は次の皆さん。

  • 葦原 一正 (B.LEAGUE 事務局長)
  • 杉本 渉 (Jリーグデジタル コミュニケーション戦略部 部長)
  • 池田 憲士郎 (Vリーグ ヴォレアス北海道 代表取締役)
池田氏はもともとバレーボールの選手であったが、球団経営は門外漢。地元旭川が元気がないのでバレーボールチームを立ち上げた。VリーグはJリーグや新興のBリーグと比べメディア露出が少なく、地味な印象を受ける。その中でビジュアルに力を入れており圧倒的な存在感を出している。相場を知らないためチケットも高額に設定していて、言わば新参者の破壊者だ。「嫌われてないですか」という質問に「嫌われてます」と答えていた。

杉本氏はもともとYahoo!でスポーツナビをやっていた人で、Jリーグに来てオウンドメシアおよびアプリを開発運営している。

葦原氏のBリーグは、2015年に立ち上がったばかり。成長率が高い。今のところマーケティングに関しては「普通」という。ただしガバナンスには力を入れているという。

さてスポーツとCXの関係だが、「観戦が体験」ということで一致していた。そもそもスポーツは感動するものちうことで、その場に来てくれればわかる、ということである。「どうやれば観に来てくれるか」が課題で、現在は人に誘われてくるということが多いため、抽選でペアチケットをプレゼントすることなどが取り組みとしてある。

見てもらえばわかる、というのは先日のイベントのフェンシングなどと違うところだろう。サッカーもバレーボールも、皆学校で試合をしたことがあり、ルールもすごいプレーもわかる。一方、フェンシングではそれがわからないため、選手の動きの意味をビジュアライゼーションで理解できるようにしている。


また、ルールがわかりやすい新しい種目を開発していて、新しい正式種目に加えたいということであった。

ハンドボールでは、選手を自動追尾するカメラを導入して全部撮っている。好きな選手だけを注目してみたり、俯瞰してみることができるとのこと。

ダンスは、コンテストから1対1バトルで人気が広がり、さらに今ではTikTokですそ野が広がっている。

今回出たメジャースポーツでは、このような取り組みは必要がないのかもしれない。しかし、2部3部リーグでも地元に定着している海外と比べると、まだ裾野を広げる余地があると思う。キーになるのは観戦以外の体験ではないか。選手一人一人の物語にフォーカスをあてたり、ダンスのように皆が参加したくなる取り組みに開拓の余地があると思う。


2019年4月21日日曜日

CXの時間軸 (CX DIVE 2019 その1)

4月17日、CX DIVE 2019 に参加した。オープニングセッション、キーノートセッション、クロージングセッション以外は2つのパラレルセッションで、以下のセッションに参加した。
  • 「テクノロジーにより進化するコミュニケーションとCXの未来」
  • 「当たり前を疑い、感動する体験を生み出す」
  • 「五感を刺激する演出から学ぶ」→ その3
  • 「スポーツとCXのこれから」→ その2
ここでは、「当たり前を疑い、感動する体験を生み出す」をまとめる。

登壇者は次の皆さん。米田氏のファシリテーションで話が進んだ。
  • 米津 雄介(THE株式会社 代表取締役/プロダクトマネージャー)
  • 米田 智彦(FINDERS創刊編集長/文筆家)
  • 木村 まさし(株式会社オールユアーズ 代表取締役)
  • 宮野 浩史(株式会社クリスプ 代表取締役/株式会社カチリ 代表取締役)
米津氏のTHE株式会社は、THEおわん、THE醤油さしなど、他のメーカーと協力してそのジャンルのど真ん中を目指して作る。ど真ん中というのは、今ある平均点ではなく、「本当はこうだったらいいな」ということ。例えばTHE醤油さしは、液だれしない醤油さし。また、東京と京都に直営店を持っている。自社製品だけでなく、もともとTHEといえる製品があるジャンルはそれを出す。

木村氏のオールユアーズは、クラウドファンディングで洋服を作り、売る会社。この会社のことは、Abeja SIX 2019 で、家入一真氏の話の中で事例として出てきた。木村氏は、お客様でなく共犯者と呼んでいる。これは分かりにくいかもしれないが、クラウドファンディングでお金を出すということは、その製品を世に出すことの決定権を握っているということだ。

宮野氏のクリスプは、カスタマイズできるサラダの専門店。アプリで注文できる。そしてそのアプリのプラットフォームを他のお店にも提供している。それによりお店が自分の注文サイトができる。

米田氏は、「共通していることは、プロダクトアウトであるということ」とまとめた。マーケティングリサーチでは出てこない、自分が本当に良いものを提供する。マーケティングリサーチでは、顧客が想像するものの平均値しか出てこないだろう。これはTHEが脱却しようとしているものだ。木村氏は「おしゃれは我慢」という考え方を変えたいという思いで製品を開発している。流行に流されない、ずっと着れるものを提案している。宮野氏は、季節メニューを出さず、常に同じメニューを出している。季節メニューがないと怖いと思っているだけではないか。お客様自身がカスタマイズできることは大きな強み。

このセッションで一番重要だと思ったのは、米田氏の「CXでは時間の軸が変わっているのではないか」ということであった。「CXとUX」でも書いたが、「(UX/CXは) 製品の使用前、使用中、使用後における体験全てを含む」ということで、使用中だけの問題ではない。

米津氏は長く使えるものの価値を重要視しているようで、「うれしいのは修理依頼」、「お客様にも長く使うか本当に必要か考えてもらう」と語った。これは購入前、購入時の体験だ。宮野氏は、「今は誰でもおいしいものを作ることができる。おいしいことは競争優位性ではない。お店の作りも同様だ。競争優位性は人。注文のやり取りはコンピューターでもできるので、お客様にかける一声が競争優位性を作る」と語った。これも購入時 (使用前) の体験だ。

木村氏は「うちは製品の体験がすべて。着て気持ちいい」と語ったが、これは違うのではないか。クラウドファンディングで購入を決めた人、初期ロットで完成度70%段階で買った人は「わしがオールユアーズ を育てた」と思っているだろうし、それもCXじゃないかと思う。このことをツイートしたら、木村氏から同意のリプライをいただいた。うれしい。

これは皆さんに共通することだが、コアなファンがついている。その人たちは直接使っている時だけでなくて、きっとそれ以外の時でも、会話やツイッターなどで他人に語りたくなっているし、実際に実行していると思う。そのこと自身が、製品やサービスへの愛を強めているだろう。そのためには愛される製品、サービスに注力する必要があるだろう。そしてそれを支えているのが、元に戻るが、作り手の思いが詰まったプロダクトアウトだ。

後のほうで「お客の期待を超える」という話題があった。これに関しては皆さん自信を持っているようで、特に米津氏の「たかが醤油さしを死ぬほど考えたりする人はいない。お客様より知っている。商品を作るときにめちゃくちゃ歴史を調べる」という発言に共感した。

CXを考える上で最も有益なセッションだったと思う。

2019年4月16日火曜日

CXとUX

4月17日、CXに関する大規模なイベントCX DIVE 2019 が開催される。このイベントは3月に行われたGoogle の "inevitable ja night" に登壇されたプレイドの牧野氏の話で知った。それに先立つ4月15日「CX DIVEの歩き方」というプレイベントがあり、そちらにも参加した。

モデレーターはモリジュンヤ氏 (inquire代表 / 「XD (クロスディー)」編集パートナー)、登壇者は、長谷川 リョー氏 (『SENSORS』 編集長)、米田 智彦氏 (FINDERS創刊編集長 / 文筆家)。皆さん編集の分野では有名な方のようです (すみません、技術分野以外疎くて)。

話題に上がったのは、
  • 最近顧客として感動したこと
  • 顧客が求めるものの変化
  • CX DIVE 担当セッションについて
    • 長谷川:「五感を刺激する演出から学ぶ」
    • 米田:「当たり前を疑い、感動する体験を生み出す」
  • 担当外の期待セッション
  • 最後に、意気込み
と多岐にわたる。最初のテーマでは、いろいろ知らないサービスが紹介されていて興味深かった。一方、担当セッションのところ、それ以外のセッションのテーマのところは、それぞれ登壇者のキャラクターにフォーカスがあたり、本番に期待が沸いてくる。

さて、"CX" という言葉は、”Customer Experience" の略である。一方、"UX" (User Experience) という言葉もある。"UX" については、「UIデザインとUXデザイン」で、
  • 製品の使用前、使用中、使用後における体験全てを含む
  • UXの良否はユーザーの内心の評価基準で決まる (ユーザー以外に物差しはない)
  • サービス以外の要因 (宣伝、評判、本人の知識、使用環境など) に影響される
ということを学んだ。お店のディスプレイに惹かれて買った。評判もいいし悪い気はしない。同じものを買った人と話が弾む。故障したけどすぐに修理してくれて不愉快な思いをしなかった。新しい製品に変えたけど愛着があってなかなか捨てられない。すべて UX の構成要素だ。

ただ、どうしても "UI" という言葉に引きずられる傾向があると思われ、そのために "CX" という名前を新たに定義したのではないかと思っていた。これなら上記のような要素を含めて違和感はない。

しかし、この日のお話を聞いていると、どうも "UX" と "CX" は違うという点で一致しているようだ。そしてこの場で言われている "CX" は、私が理解していた "UX" の定義と同じように思われる。そこで質問の時間に、"UX" と "CX "の違いについて質問した。

モリ氏に頂いた答によれば、ここでの "CX" は私が理解していた "UX" と同じもの。"UX" のほうがもう少し限定された意味のようだ。モリ氏によれば、"UX" の使い方には人によって幅があり、UIによって得られる体験から、ここでいう "CX" まで広がっているという。

今後はその点を注意して、特に "UX" という言葉を使うのはできるだけ避けて、"CX" という言葉を使っていきたい。

2019年4月13日土曜日

トレジャーハンティングといけにえアイデア

4月11日、RCA と IIS Design Lab の Inspire Talks を聴きに行った。2月のテーマは「バイオ」だったが、今回のテーマは「マテリアル」。

最初のトークは東京大学 大学院情報理工学系研究科 川原研究室 鳴海 紘也氏の「マテリアル志向インタフェース」。素材からどう使うかを考える。

一つは紙で作るロボット "Liquid Pouch Motor"。パウチの中に34度で沸騰する液体がいれてあり、紙に印刷した回路で温めることによりパウチを膨張させて、蝶の羽を動かす。これをドーム全体に張り付けたものがPapillion。Paperと Papillon (パピョン = 蝶) と Pavilion (パビリオン) を合成した名前だね。この蝶ひとつひとつが自動開閉の窓になっていて、寒いときには窓が閉じ、暖かくなると窓があき、換気がなされる。

A LIVE UN LIVE
森美術館で行われている「六本木クロッシング2019展」に出展されている "A LIVE UN LIVE" もこれでできている。光の当たりかたにより色が変わるドレス。光の当て方を変えていると思っていたのだが、ドレスの蝶が羽を広げたり閉じたりすることで、光を受ける方が方向を変えていたのだ。そういうところは注意してみていなかったので、もう1回行ってちゃんと見てこようと思う。

もう一つは、自己修復素材PBSを用いたもの。これに関してはまだ発表前だということで、これ以上の説明はここでは控える。会場からの質問で、自己修復素材にはハイドロゲルというものもあるそうだが、これは乾燥するとその機能を失うのに対して、PBSは長い間使え、何回切っても修復するとのこと。

東京大学生産技術研究所 岡部 徹教授のお話のテーマは「チタン」。研究テーマはチタンの新しい精錬方法などだが、チタンを用いた椅子などのデザインを行っていて、昨年国立新美術館で行われた「もしかする未来」展にも出展したとのこと (これは行きたかったな)。デザインは山中俊二氏との共同作品。

デザインの話よりも岡部氏の「チタン愛」が興味深かった。チタンはレアメタルといっても、9番目に多い金属だそうだ。 今は精錬が難しいためレアメタルになっているが、精錬技術が進んでくるとそのうちコモンマテリアルになるだろうという。今は航空機、ロケットなど金に糸目をつけない分野でよく使われているが、今後安価になったらどういう使い方がされているだろうか。

最後のお話は、東京大学生産技術研究所ノルウェン・モデ氏の「Science * Design」。これは特定のマテリアルの話ではなく、研究所全体のお話で、「 どのように科学とデザインがコラボしていくか」というメタ視点にたった研究に関してであった。この研究は、
  • デザイナーと科学者の違いを発見整理し、
  • コラボのアウトプットがどのようなものかを調査し、
  • コラボレーションの方法を検討する
ものである。特に、コラボレーションの方法では次の2つの手法を考案した。
  • トレジャーハンティング:デザイナーが各研究室をめぐり、コラボレーションの種を特定していく。18人のデザイナーと10の研究室が参加し、109のアイデアが生まれた。
  • いけにえアイデア: 取るに足らないアイデアを批評してもらうことで、制約や新たな可能性を探る。
今後の課題は、この方法をブラッシュアップさせるとともに、普及を図ることだということだ。

よくコラボレーションでイノベーションが生まれるという。だが、ただ同じところにいるだけでは、交流は生まれても、イノベーションが生まれるまでには至らない。ここで提案されているような進め方は深い考察を必要とするもので、イノベーションにつながる確率は高そうに思う。

2019年4月7日日曜日

TEAMZ BLOCKCHAIN SUMMIT 2019 Day 1

TEAMZ BLOCKCHAIN SUMMIT 2019 の 1Day Passを貰ったので、初日の4月6日に行ってきた。ブロックチェーンに関しては専門外で、純粋に勉強が目的になる。

今回、様々な応用、ビジネス事例、プライバシー、セキュリティ、法的な問題など、話題がぎゅっと詰められていて濃度の高いイベントだった。30分のパネルディスカッションが6本も入れてある。通常のイベントではパネルディスカッションは1時間から90分くらいあるが、その半分以上はパネリストの個人発表で埋められているので、純粋にディスカッション部分を切り出した形式はなかなかいいものだと思った。通常ある会場からの質問も、的外れのものであったり、質問じゃなくて自分の意見を言いたい人が出たりと、あまりうまくいかないことも多いので、今回それがないのも濃度が高いことに貢献していると思う。

以下、その中で気になったものをメモ。

パネルディスカッション:ブロックチェーン業界においてイーロン・マスクのような"超人"は必要か?日本の大手企業からみるブロックチェーンの新しい動向

登壇者は、日本オラクル大橋雅人氏、マイクロソフト西脇資哲氏、日本IBM 平山毅氏、富士通総研 松本泰明氏、LINE砂金信一郎氏。ブロックチェーンの可能性、日本の課題などのお題の後、最後に「なぜイーロンマスクか? そういう存在がいるのかいないのか?」の話になった。西脇氏「IT系のイベントにはスーツ族が多い。今日この参加者はちょっと違う。この中から出てくるのでは出てくるのではないか」、大橋氏「だれかがやるのではなくあなたがそうなってほしい」、砂金氏「LINEから、LINEのコミュニティから出てほしい。スマートコントラクトを使って」というお話に共感をもった。

MARK.SPACE 原田氏

皆が集まって日常活動を行うVR空間を提供する。人と会ったり、授業を受けたり、買い物をしたりできる。自分の体形を再現したアバターを使って試着したりできる。ビジネスモデルとしては、プラットフォーマーとして事業を行う。VR空間の土地を売ったり、VR空間上の取引で手数料をもらう。

この話を聞いて思い出すのは、セカンドライフ。当時は話題になって、大手企業もこぞって仮想空間にお店を出したりしていたが、いつの間にかしぼんだ。ここからどういう教訓を得るのか考えておいた方が良い。

ラリー・サンガー氏
Decentralize Social  Media - Wikipedia 共同創業者、Everipedia CIO ラリー・サンガー氏

ソーシャルメディア企業は、顧客のデータを保有する一方、エクスポートを提供しないことで顧客が自分自身のデータを用いることを制限している。これに対してソーシャルメディアを分散化させる。ここでは個々の投稿はマイクロポストという。標準プロトコルを用いて囲い込みを避ける。Twitterのジャック・ドーシーに話をしたら、全面的に同意を得たとのこと。

Wikipedia の創業者が、今はそのDapp (分散アプリ) 版 Everipedia に取り組んでいるのが面白い。Wikipediaにある課題のひとつ書き換え合戦なども、ブロックチェーンで解決できるのだろうと思う。

森氏
アジア発の次世代型グローバルエンタメプロジェクト - Z-POP DREAM創業者 亀島 則充氏、CTO 森氏

Z-Pop は、世界7地域からオーディションを行い、ファンが投票して、投票で残った候補者を売り出す。2018/08-09 リクルートを行い、2019/02 男性グループZBoysと女性グループZGirlsがデビューした。

単に新しいタレントを発掘するだけのものではない。ファンがタレントを育てるプロセスを作っている。ファンにタレントを育てるパワーを与える。森氏が語るキーワードはPower & Love だ。これはこれまでの音楽業界に対する破壊的改革になる。

パネルディスカッション: WHICH DAPP IS DAPPER? -技術とは-

パネルディスカッション
画面に表示されていたテーマは「Stop Talking Profit, Blockchain Can Change The World」*。仮想通貨以外でブロックチェーンの応用で注目されるものが話し合われた。特に、Canaan Creative の Kevin Shao 氏が「ブロックチェーンでスタートアップや小さい企業でも資金集めができるようになる」 という話は、3月のAbeja SIX 2019 でのCAMPFIRE 家入一真氏のビジョンと同じ方向と思った。
* これは本当は2日目にあるディスカッションのテーマだったんですね。なんらかの間違いであがっていたのでしょう。

今回、ツイッターでの投稿にハッシュタグ #TEAMZSummit2019 をつけると、パネルディスカッション時などにスクリーンに投影される (パネリストの発言と異なる話題のツイートが表示されるのでパネルディスカッション時は避けた方がよかった)。なぜか妙な翻訳が入っていて、アカウント名 "R.Yoshihiro Ueda" の ”Yoshihiro" が「義弘」と変換されていた。これはまあ仕方がないとして、「家入さんのビジョン」が「家入さんのビジネス」になっていたのは謎。

今度初めて知った用語もいくつもあった。メモを取りながら検索していた。
  • Dapp: 分散アプリケーション
  • Tx: トランザクション
  • スマートコントラクト: 仲介者を介さず、条件が整うだけで契約が実行できる仕組み。
  • STO: Security Token Offering。仮想通貨と違って実際の資産的価値のあるものと結びついている
  • IEO: Initial Exchange Offering。資金調達の仕組み

膠着語について